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スポーツコラム

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第1回 損益計算書5期比較から読み取るクラブチームの経営

2012年10月26日

この記事は1年以上前に掲載しましたので、情報が古い可能性がございます。

 

スポーツに携わる仕事をされている人は、「会計」や「財務」といった裏方的な仕事をどう思われるであろうか。私はこれまで約15年間、税理士法人で20件の法人クライアントを担当し、巡回監査してきた経験を持っている。現在の会社に転職して、初めてスポーツ業界を知った。毎日が新鮮な驚きでいっぱいである。

身体を動かすことが大好きでスポーツ業界に入られた方々の多くは、「会計」や「財務」に関しては、おそらく面倒で、堅苦しく、ちっとも面白くない・・・等々のネガティブなイメージをお持ちなのではないかと思う。そうはいっても、クラブ運営事業におカネはつきものであり、「会計」と「財務」は避けて通れるものではない。スポーツ業界に関してはド素人だが、多少、会計・財務の世界を知る私が、スポーツの世界に歩み寄ってその深淵を覗くため、このコラムを書き綴ってみようと思う。

サッカーのTV中継を観ていて「前半はAクラブが攻め込んでいたが、後半はBクラブが盛り返していた。」といったような主観的な感情は、人ならば当然生まれるものであるが、感じ方は人それぞれ異なり、客観的な数字ではなかなか表すことができない。

一方で、必ず「ボール支配率○○%」とか「シュート数△△本」といったようなデータがTV中継中、紹介されている。こういった数字は客観的であり、動かしがたい事実である。「会計」や「財務」もそれと同様、一定の会計ルールに基づいて導き出された客観的な数字であり、動かしがたい事実といえる。(実際は、どうとでもなる部分が結構あるが・・・。)

今回は、「会計」と「財務」について、比較的とっつき易いと思われる「損益計算書(5期比較)」について説明してみよう。「損益計算書」とは、ある一定の期間の「売上-費用=儲け」を数字で表している成績表のことである。

この損益計算書を5期分、じっくり見つめると、クラブチームの経営状態がハッキリとした傾向で見て取れる。

まずは、某クラブチームのごく簡単な分析をしてみようと思う。下記の図をご覧いただきたい。

 

 

某クラブチームは地元だけでなく、全国に熱心なファンを抱える日本有数のビッグクラブであるが、ここ数年は成績が低迷していて、営業収入が落ち込んでいる。図1と図2の表から見て読み取れることは、クラブが良い成績を上げると営業収入が増し、成績がふるわないと営業収入が減る・・・、それどころか、2010年度は赤字に転落している。[図3]

2011年度は前年に比してさらに成績が低迷したため、営業収入は約4%の落ち込みを見せた。しかし、営業費用をカットした努力により、赤字転落を免れている。[図3]

 

このように、客観的事実(数字)である「会計」や「財務」を読み取ることにより、自分のクラブチーム運営のどこが弱点なのか、どう立て直していくべきなのか、冷静な分析と判断が可能になってくるのである。

一般的な会社を経営されている方ならお分かりであろうが、クラブチームの成績次第で経営状態がガラリと変わるスポーツビジネスは、ハイリスク&ハイリターンなビジネスと断言できよう。あまり手を出したくない業種である。年間40日~50日の興行(試合)で営業収入が決定してしまうわけであるから、残る310日をいかに周到に準備できるかが、数少ないチャンス(試合)をモノにできるカギとなる。

試合に負け続けると、おのずと入場者数は減るが、入場者数が減少することによる営業収入への影響は何であろうか?

①チケット販売収入が減少する
②試合会場でのグッズ販売収入が減少する
③広告料収入が減少する
(この広告料収入に関しては、クラブチームの成績よりも、むしろ景気に左右される。景気が悪くなると、企業のコストカットは真っ先に広告宣伝費と接待交際費から始まるためである。)
④順位を落とせば、分配金が減少する

では、クラブチームの成績が落ちたとしても、営業収入の減少を食い止める方法は皆無なのであろうか?打つ手はまったくないのであろうか?

あるにはある。それは「熱心な」サポーターの存在といえよう。たとえ試合に負け続けても、熱心なサポーターであれば試合を観に来てくれるし、熱心なサポーターはクラブチームに関連するグッズを好んで購入してくれる。熱心なサポーターがグッズを身に着けてくれると、タダでクラブチームの広告宣伝をしてくれることになる。

一度お付き合いで試合会場を訪れただけの「普通」の観客を、「熱心な」サポーターに変身させることが、収益力アップの一番の近道ではないであろうか。もう一度「来てみたい!!」と思わせるようなアイデアをひねり出す努力は、いくらでもできるように思う。

興行(試合)のない310日間を、いかに「熱心な」サポーター獲得のために注力できるか。スポーツビジネスに携わる人の裏方的な仕事が、今、とても重要な位置を占めている。

次回のコラムでは、この「損益計算書」をもう少し深堀りし、そこから見えるスポーツチーム運営について考えてみたい。

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・木村 仁美
・1970年10月1日生 大阪生まれ B型
・15年間税理士法人での勤務経験あり
・スポーツ業界は完全な素人&運動音痴
[趣味]
ハイキングと昼寝
[目標]
自分の経験を生かし、スポーツ業界で働くみなさんの

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