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スポーツコラム

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第15回 資金調達方法、あれこれ(1)

2013年5月17日

この記事は1年以上前に掲載しましたので、情報が古い可能性がございます。

スポーツチーム、スポーツ選手の台所事情

 新緑の美しい季節である。ちょうど一年前の私は、15年間勤務していた税理士法人を退職する直前で、まるで死期の差し迫った人間のように、時間と競争しながら働いていた。おかげで思い残すことのない税理士法人時代を終え、現在のmusica lab、未知のスポーツ関連の仕事に就くことになったわけであるが、財務、会計を通して見るスポーツチーム、そしてスポーツ選手には、深刻なお金の問題がたくさんあることを知った。

 

 

スポーツを始める原点がその後の資金調達を下手にさせる?

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日本の子供がスポーツと関わり始めるきっかけは、学校教育の場であることがほとんどであるため、日本人はスポーツをビジネスとして捉えることに慣れていない。しかも、親も学校も、お金にまつわる話を子供に積極的に行わないうえに、スポーツを武士道の延長のように考えているため、お金とスポーツをワンセットにして考える土壌が育っていないように思う。

 

スポーツ選手が強くなるためには、自分より強い相手と戦う必要がある。宿泊を伴う遠征費用は、年間十数万円~約数十万円となることもあり、専属コーチに支払うお金の準備もしなければならない。これを親のみで負担するとなると、長続きしないことは目に見えている。世界に通用するトップレベルの日本人選手は、昔に比べ格段に増えていると思うが、お金の問題がネックになり、やりたいことにチャレンジできないのは、哀しいことである。

 

日本人はお金集めが下手なのであろうが、何か良い方法はないのか。

 

 

■税理士法人時代によく見かけた資金調達方法①

 一般的な資金調達方法としてよく知られているのが、株式の増資である。出資者を募って資金を集め(もしくは会社の経営者本人からの個人マネーで増資することもある。日本の中小法人ではこちらの方が圧倒的に多い)、会社の元手となる資本金を増やすことである。これは返さなくて良い、貰いっぱなしで良いお金。いわゆる「自己資本」と呼ばれ、財務諸表を良く見せるために、一番有効な方法である。ただし、増資手続に費用と時間がかかるうえ、税制面での優遇措置がなくなるため、資金的に急を要する場面で実際に行われるケースは、ほとんどなかったように思う。

 

 

資金調達方法②

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 一方、圧倒的に多いのが金融機関や経営者本人からの借入金で、資金調達をする方法である。これは「自己資本」の反対語で「他人資本」と呼ばれるものであり、返済期間を決めて、利息を付けて債権者に返さなければならない。経営者本人からの借入金には、利息も付けず、返済期間も設けずに借り入れしている場合も多いが・・・。

 

一般的に金融機関からの借入れは、業歴が3年以上の会社になると借りやすくなるといわれ、(つまりは創業してから3年もつ会社が少ないということである。)返済期間の長さと利率の多い少ないによって、金融機関側が企業をどう見ているのかがよく分かる。

 

私が過去によく見ていた金融機関から企業への返済期間の長さは、5年もしくは7年が多かったが、それは、借主の企業が5年後も借入金を返済し続ける能力があると銀行が判断しているからなのだ。安定して借入金を返済し続けてくれる企業には、返済期間の半分を過ぎたあたりで「追加の融資はご入り用ではありませんか?」と銀行員から営業の電話がかかってくることもよくあった。

 

ただ、新規融資の際には入念な審査があり、過去3年分の決算書を求められることが基本である。A.売上が順調に伸びているか、B.担保として取ることができる不動産を保有しているか、C.資本金はいくらか、D.社長の年収はいくらか、また、E.社長の自宅は持ち家か等々・・・、企業の返済能力と将来性を10段階にランク分けして、返済利息の利率が決定されるらしい。

 

借入金は増資とは違い、「負債」が増大することから、財務諸表の見た目は悪くなる。異なる金融機関に新たな融資を依頼する場合には不利となる可能性があり、過去に「今すぐ借入金を全額返済してください。」という銀行側の「貸しはがし」が社会問題となったことは記憶に新しい。

 

 

資金調達方法③

三つ目の資金調達方法は手形の割引である。手形は売掛金(売った時のツケ、いわゆる債権)の代金回収方法のひとつであるが、これは実際に現金化できるまでに30日~120日かかり、長いものでは180日サイトというものまである。この、手形を受け取ってから実際に現金化できるまでのサイトが長くなればなるほど、資金ショートする危険性が高まる。

 

そこで、手元にある手形を期日前に金融機関に持ち込み、 現金化する方法が手形の割引である。一般的に借入金の返済利息よりは利率が高く、緊急時にのみ使うことを考えた方が良いが、手形割引が常態化している企業も時折見かけることがあった。これは借入金の一部と考えた方が自然である。

 

 

資金調達方法④

四つ目の資金調達方法として、直接業務に関係のない資産を売却し、手持ち現金を得る方法である。ただし、売る資産があれば・・・、の話であるが。

 

 

資金調達方法⑤

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 公的助成金制度をお役所に申請することにより調達する方法もあるが、書類の書き方や審査にうるさい部分があり、申請書提出から実際にお金を受け取るまでに、相当の手間と時間がかかるため、社会保険労務士などの力を借りる方法を検討するのもひとつの手である。自ら申請する場合は入念な準備と根気強さが必要である。

 

 

アメリカで生まれた新たな資金調達方法が、スポーツ界の救世主となる?

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 上記の資金調達方法は、中小企業向けの昔ながらの手法であるが、それがスポーツビジネス向けにも使えるかというと、チームの規模やスタジアムの有無等、それぞれに抱えている問題が異なるため、共通して選択できる資金調達方法ではない。

やりたいことがあるにもかかわらず、資金調達がうまく行かずに倒産してしまう会社やスポーツチームはたくさんある。

2012年4月、アメリカ連邦議会で審議されていたJOBS法”Jumpstart Our Business Startup Act(H.R.3606)”にオバマ大統領がサインした。このJOBS法は、新興企業が小口投資家から資金を調達しやすくする規制緩和が目的の複数法案であるが、この法案成立の影響を、日本が受けないはずはない。欧米や中国、韓国のベンチャー企業では、すでに活発に利用されている。日本でも徐々にその影響が表れ始めているが、次回のコラムでは、その具体的な仕組みと動きについて、取り上げてみたい。

 

 

 

 

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・木村 仁美
・1970年10月1日生 大阪生まれ B型
・15年間税理士法人での勤務経験あり
・スポーツ業界は完全な素人&運動音痴
[趣味]
ハイキングと昼寝
[目標]
自分の経験を生かし、スポーツ業界で働くみなさんのお役に立つこと
台湾の阿里山に登ること

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