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2013/06/14 コラム

第17回 資金調達方法、あれこれ(3)

日本のクラウド・ファンディングの現状

 ここ1、2ケ月ほどクラウド・ファンディングについてじっくり調べ、実際にアイデア(起案)を実行に移された方に取材し、詳しいお話をお聞きすることができた。巷でクラウド・ファンディングが大流行していることは分かっていたが、WEBサイトを確認するたびに、雨後のタケのノコのようにクラウド・ファンディングに関する記事が続々とUPされているのには驚いた。

 

もともとクラウド・ファンディングは、NYが発祥の地で、お金がないせいでやりたいことができない、アーティストやクリエイターの夢を実現させるためのツールとして生まれたものであるが、WEBサイトの起案を見ていると、世の中にはなんと「やりたいこと」があふれているのだろう。日本人はすっかり元気を失くし、欲どころか希望さえも失くしてしまったのではないかと思っていたが、まだまだ日本人は捨てたもんじゃない!!と嬉しくなった。だがその一方で、安易にお金集めができるシステムと誤解されなければ良いが・・・、などと考えてしまう自分もいた。

 

寄付ではないが、寄付感覚で支援できるのがクラウド・ファンディング

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日本人にはもともと寄付する習慣が文化として根付いていなかった。20年近く前に起きた阪神大震災の時の私は、大阪に住んでいるにもかかわらず、「被災された方々に寄付しよう」という感覚を全く持ち合わせていなかったように思う。ただ、友人が多く神戸方面に住んでいたこともあり、友人達に対してだけは「何とかして助けになりたい!!」という強い気持ちがあった。

 

ところが、2年前の東日本大震災の時には、1年間だけであるが毎月、特定の市区町村に寄付を送り続けた。ボランティアの存在もクローズアップされ、身体を動かし、労働力を提供する形の寄付も定着してきた。ただ、善意の気持ちから出たお金が、どのようなルートでどのように使われているのか、寄付した側には一向に見えないところが、気になるところでもあった。

 

高額な金額設定の起案(プロジェクト)は成立しない?

寄付文化が根付いているアメリカでは、クラウド・ファンディングは抵抗なく受け入れられ、ひとつの起案(プロジェクト)が100万ドル~1,000万ドルを超すものも出始めている。一方、日本社会にクラウド・ファンディングが定着するまでには、もう少し時間がかかるように思う。現在、よく見るクラウド・ファンディングの目標金額設定は5万円~30万円がボリュームゾ-ンで、100万円を超えるような起案は、震災復興関連のように広く全国から賛同を得られやすいもの、地域的には限定されるが、町おこし的な要素の強いものに限定されているように感じた。

 

支援の集中は、募集期間の最初の一週間と最後の一週間

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ひとつの起案の募集期間は30日~90日間が一番多く見られた。この募集期間は、長いからといって多くの支援を集められるわけではない。支援金は募集開始から最初の一週間と最後の一週間に集中し、グラフで表すと「Uの字」を描く。これは起案をWEBサイト上に掲載するまでの事前段階で、いかに多くの友人・知人に声をかけ、facebookやTwitter上で拡散してもらうことができるかにかかっている。

そして最後の一週間で支援が集まる理由は、クラウド・ファンディングは目標金額に達しなかった場合、それまでに集まった支援金を100%支援者に返金するため、おそらく起案者に近い立場の人間が「追加支援金を注入」しているのではないだろうか・・・。

 

ひとつの起案(プロジェクト)がスポーツ選手を育てるかもしれない!!

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それでは、実際に具体的な事例を考えてみよう。A氏は現在20歳。プロのテニスプレーヤーを目指して日々練習を重ねている。ある大会での優勝を経験し、周囲からの期待も非常に大きく、某有名プロテニスプレーヤーも学んだことのあるアスリート養成施設で、1ケ月半の特別プログラムに参加したいという願いがある。しかしその特別プログラムに参加するためには、約100万円もの費用がかかり、短期間の出費としては個人負担がかなり大きい。そこで、クラウド・ファンディングを使って、費用の一部を資金調達できないか考えてみたい。前回コラムで取り上げた通り、

①「起案」の内容

②「調達目標金額」の内容

③「募集期限」の設定

④「支援者」へのリターン設定

⑤Webサイトの紹介文章・動画考案

⑥友人、知人への「クラウド・ファンディング起案」の告知と応援要請

と順を追って考えてみよう。

 

クラウド・ファンディングで起案(プロジェクト)を考える

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①「起案」の内容

将来プロのテニスプレーヤーになる夢を応援して下さい!!

スポーツアカデミーの特別プログラムの参加費用を応援していただけませんか?

②「調達目標金額」の内容

50万円

③「募集期限」

90日間に設定

④「支援者」へのリターン設定

・500円(制限数なし)・・・A氏本人からお礼のメール

・1,500円(100人)・・・・・A氏本人からお礼のメール+ポラロイド写真

・2,500円(50人)・・・・・A氏本人からお礼のメール+サイン入りポラロイド写真

・5,000円(15人)・・・・・A氏本人からビデオレター+サイン入りゴルフボール

・15,000円(10人)・・・・・A氏本人からビデオレター+A氏と写真撮影+サイン色紙

⑤Webサイトの紹介文章・紹介動画考案

普段の活動状況を文章で紹介したり、アピールのための動画を作成する。

⑥友人、知人への「クラウド・ファンディング起案」の告知と応援要請

facebookやTwitterでの告知・拡散のお願い

 

支援者から資金を得るためには?

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支援者側の視点は、「共感を覚える起案か」「この人なら支援したいと思える人物か」

「お金の使い道はどうなっているか」「リターンは何か」の4点につきるように思う。思わず応援したくなるような、起案者側の暑苦しい気持ち(笑)を伝え、たとえ起案が成立しなかった場合でも、その現実を冷静に受け止め、次に打つ手を考えなければならないだろう。

 

 

 

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・木村 仁美
・1970年10月1日生 大阪生まれ B型
・15年間税理士法人での勤務経験あり
・スポーツ業界は完全な素人&運動音痴
[趣味]
ハイキングと昼寝
[目標]
自分の経験を生かし、スポーツ業界で働くみなさんのお役に立つこと
台湾の阿里山に登ること