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2013/08/09 コラム
第21回 地域スポーツからプロへ:JFLとJ3の違い等
■表現しようのない暑さとの戦い
先日、初めて上海の暑さを体験してきた。たまたまかもしれないが、それほど湿度を感じなかった。直射日光がジリジリと肌に突き刺さる感じで、もともとUV対策に熱心ではない私は、しっかり日焼けして帰ってきてしまった。私の場合は、屋外にいるといってもトータルでほんの数十分であるが、それでもクラクラして冷たい物を普段より多く摂っていた。この時期にスポーツをされているスポーツ選手のみなさんは決して無理しないでいただきたい。いくら好きでやっていることとはいえ、命はたったひとつしかないのだから。。。
■プロとアマの違い(個人の場合)
ここしばらくのマネイジメントコラムでは、子どもと地域スポーツについて3回連載で取り上げたが、今回は大人の地域スポーツ(社会人)からプロ化を目指す動きについて取り上げたい。スポーツ選手個人でいうところのプロとアマの違いはみなさん、ご承知のことと思う。プロはスポーツすることを職業としていて、試合に出場することにより報酬を得ている個人のことを指す。プロに対してアマは、スポーツすることで生計を立てておらず、別の職業をスポーツ以外に持っていて、勤務時間外でスポーツを行う個人ということになる。
■プロとアマチュア(クラブチームの場合)
次に、あえてクラブチームの経営に視点を移し、プロとアマの違いを考えてみよう。
①地域スポーツクラブ・・・月会費、年会費を会員から徴収し、その範囲内で運営を行う。アマチュアである。
②企業スポーツクラブ・・・企業のクラブ活動のため、主催試合でチケット収入を得る、スポンサー収入を得る等の営業活動を行う必要がない。観客動員数もさほど気にせず、スポーツチームとして強くなることを主な目的としている。採算を考える必要のないアマチュアといえる。
③プロスポーツチーム・・・大手企業が大株主に入っている場合もあるが、法人化していて、独立採算性で運営している。スポーツを観客に見せることにより収入を得る運営方法。観客動員数やスポンサー収入が会社の経営状態や存続そのものに大きな影響を与える。つまりプロといえる。
■JFLとJ3の違い
JFL(日本フットボールリーグ)というサッカーリーグをご存知であろうか。公益財団法人日本サッカー協会と一般社団法人日本フットボールリーグが運営を行っている、Jリーグと地域リーグの中間的存在のリーグである。地域のサッカークラブや企業のサッカー部、大学のサッカー部にとっては唯一の全国リーグであり、アマチュアリーグとしては最高峰に位置している。将来Jリーグに加盟することを目指すクラブチームにとっては、JFLで優勝もしくは上位にいることが必須となる。一方で、Jリーグへの加盟には興味はないが、非常に強い実力を持つアマチュアのクラブチーム(企業や大学のサッカー部、地域クラブ)もJFLに所属しており、プロとアマが混在しているリーグである。
過去にJFLに所属していたが、その後Jリーグに加盟したチームとしては、横浜FCやザスパクサツ群馬、栃木SC等があり、その一方で、JFLで4回も優勝していながら、Jリーグに参入する意思のないHonda FCなども所属している。
現在、日本のプロサッカー(Jリーグ)にはJ1とJ2、ふたつのリーグがあるが、2014年度からはJ3という3部リーグが新設される。JFLに所属しているクラブチームのうち12チームがJリーグ準加盟申請を行っているため(審査があるため、全ての申請が通るわけではない)、JFLの所属チームは減少するであろうが、JFLは今後も存続することが決定している。
現在のシステムでは、JFLで上位2位までに入ったクラブチームがJライセンスを持っていた場合、J2の下位チームとの入れ替え戦が行われ、J2昇格の可能性がある。
■J1入会(昇格)の厳しい条件
J1の資格要件は下記のとおり大変厳しいが、その厳しい条件をクリアするからこそ、現在のJリーグ(サッカー)が、野球を凌ぐ人気プロスポーツとしての地位を確立したに違いない。
①J2リーグ戦で3位以内
②プロA契約選手、15名以上25名以内
③サテライトチームを編成できる
④経営面の昇格基準を満たしている
⑤Jリーグ基準を満たすスタジアム(椅子席1万5千以上)で、ホームゲームを80%以上開催すること
⑥第2種(18歳以下)、第3種(15歳以下)、第4種(12歳以下)のチームを保有
⑦入会金6千万円、年会費4千万円
■準加盟条件
これに対し、2014年度から新設されるJ3に加入するためのライセンス、準加盟条件はJ1に比べかなり緩和されたものとなっているが、設備関係や経営面での条件、さらにチーム力強化と数多くの課題を抱える点から考えると、はやはり厳しいように思う。
①競技リーグは都道府県リーグ、地域リーグ、またはJFL
②公益法人、株式会社、特定非営利活動法人であること
③常勤役員1名以上、常勤社員2名以上で適正に運営されている
④地元自治体および都道府県サッカー協会が応援姿勢を文書で示している
⑤ホームスタジアムでリーグ戦を相当数開催できること
⑥ホームスタジアムはJリーグ基準を満たすか将来Jリーグ基準に改修可能であること
⑦ファン、サポーター、後援会などの整備に関する規定は特になし
⑧U-18やU-15等、下部組織に関する規定は特になし
⑨入会金なし、年会費120万円
■J1、J2の平均入場者数を考えると、J3が経営面で成り立つのか?
上記のグラフから分かるように、J1とJ2の間にははっきりとした入場者数の違いがみられるものの、J2発足後、入場者総数は年々増加している。つまり、サッカーファンが増加しているのである。来年、J3が始まり、クラブチームが増えれば、サッカーのすそ野はますます広がるのではないだろうか。地域スポーツからプロ化するクラブチームが誕生するのは、大変喜ばしいことである。今後のJ3の始まりに注目したい。