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2013/09/06 コラム

第23回 2020年オリンピック開催地、いよいよ明日決定!!

■台湾からマネイジメントコラムをお届けします

本日のコラムは台湾からお届けしている。台北市内の最高気温は30度前後であるが、意外なほど湿度が低く、大阪と違って過ごしやすい。風も心地よく吹いていて、秋の気配をなんとなく感じ取れるのが嬉しい。これまで海外で仕事をする経験がほとんどなかったため、つい最近までは台湾にやって来るたびに無口になっていたのだが、どんどん厚かましく過ごせるようになってきている自分が恐ろしい。。。ちっとも言葉は上手になっていないのだが。

 

 

■いよいよ明日、緊張の瞬間がやって来る

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9月7日(日本時間では8日午前5時)、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれるIOC(国際オリンピック委員会)総会で、いよいよ2020年夏季オリンピック開催地が決定される。現在、トルコのイスタンブール、スペインのマドリード、日本の東京、3都市が候補地の上位3都市として残っているが、それぞれの都市には抱える問題があり、あれこれ予測は飛び交っているものの、どの都市が選ばれるのか予想のつかない状況である。

 

 

■東京都民の反応は?

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東京都が2020年夏季オリンピック開催地に名乗りを上げたのは2011年4月である。東日本大震災の翌月のことであった。その時にやる気満々だったのは、ひょっとすると石原都知事とその周辺の人々だけだったかもしれない。日本人と東京都民の反応は冷ややかだった。震災の翌月とあって、それどころではなかったと思う。当初は日本全体の雰囲気はオリンピック開催に乗り気ではなかったように思う。ただ、そのことがPublic Supportの項目が後々まで東京都の評価を低下させたことは否めない。直近の国民の意識は93%が東京でのオリンピック開催に賛成しているそうであるが。。。

 

 

■7年先の開催地の問題を、今予想することは難しくはないのか?

では、何の問題が候補地にのしかかっているのであろう。トルコのイスタンブールは6月に反政府デモが起こり、政治的不安を抱えている。そして隣国シリアの内戦問題もイスタンブールでのオリンピック開催に暗い影を落としている。一方、スペインが抱える問題は、経済と首相自身の汚職であり、失業率は2013年4月〜6月の3ケ月間で26.3%と、世界第4位の高水準である。そして東京が抱える問題は、もちろん放射能の問題である。

 

トルコにしてみれば、隣国シリアの内戦のとばっちりを受けた形になっており、これは一国の努力のみではどうしようもできない問題で、トルコが自力でコントロールできるものではない。そして原発の問題も、もはや「日本」一国の問題ではなく、「世界の」大問題となってしまっている。つい最近発覚した貯水タンクから海へ漏れ出した汚染水の問題は、欧米のトップニュースとなっている。このことから見ても、欧米人の放射能に対する関心が非常に高いことが見て取れるのだ。

 

国内外の紛争や放射能汚染については、7年後のオリンピック開催時に、どのように問題解決できているかを予想することは難しい。たった7年で状況が劇的に改善する保証がないからである。このことはイスタンブールと東京にとって最大の弱点と言える。

そうなると、経済を立て直す時間を7年間ももらうことのできるスペインが有力候補と考えざるを得ない。もちろん経済上の問題も経済状況が悪いという問題は、オリンピックの招致に成功すればかなりの経済効果を見込めるため、経済問題そのものを解決する手立てとなる。個人的に一番可能性がありそうだと感じるのである。

 

 

■オリンピックと商業主義(拝金主義)

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100年以上続く近代オリンピックの歴史であるが、1976年に開催されたモントリオールオリンピックでは10億ドルの赤字を出し、そのうちの2億円をモントリオール市とケベック州が税金の増税でまかなったという経緯がある。この失敗の理由には、役人がオリンピックを運営したためと言われていて、コスト意識の低さや、儲けに対する関心の低さが一番の原因と言えるであろう。このモントリオールオリンピックを教訓に、後に開催された1984年のロスオリンピックでは、運営は完全に民営化され、放映権料やスポンサー収入のみで運営され、さらに徹底した低コストで運営された。国民や地元住民の税金を投入せず、しかも寄付を募らずに切り盛りし、利益を出してオリンピックという興行を成功させたのである。アメリカ人の経営意識の高さを思うとブラボーとしか言えない。

 

ただ、今度は過度な商業化が進むあまり、大きな予算が必要となっているのが近年のオリンピックでは問題視されている。良い競技施設を作り、最高のサービスを提供する宿泊施設の建設。利益追求が先なのか、巨額な投資が先なのか、最近は分からなくなっている。そして、もうひとつの莫大なコストがかかる理由は、対テロ対策である。こればかりは必要不可欠な資金なので仕方ないであろう・・・。

 

例え東京に開催地が決定したとしても、大儲けに欲をかくことなく、気持ち良い時間を日本で過ごしてもらえるよう、受け入れる側の気持ちを準備しておきたい。静かに、だが、熱く明日の決定を待ちたい。